【長助(ちょーすけ)さん登場】
手前に座っていた人の良さそうな老人が振り向いてくれた。
老人は「長助さん」と言い、この古い醤油味噌蔵の杜氏頭(とうじがしら)なのだそうだ。
今年、77歳になると言うがそんな歳には決して見えない
何十年とこの蔵に勤めていると言うが、なかなかどうして、いまはやりの「癒し系」
の雰囲気が漂ってくる・・・
私は進められるままにお茶を飲み、色々な話を聞くこととなった
何を話しますか?
@この店の正体
Aさっきの赤い桶について
B店前の木の不思議な道具について
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@この店の正体
長助 「ここはな、昔っから続いている、醤油と味噌の醸造蔵なんじゃ。わしはもう60年も
ここに来ておるがの、ハハ、わしの親父もその又爺さんもこの蔵で働いていたんじゃから
そーとーに古い店じゃなぁ。
代々の当主は「大和屋弥助」と言う名前を引き継いでおっての、いまの当主で八代目じゃ。
わしも今年で77歳になるが、動けなくなるまで置いてくれるそうじゃから気張らんとのぉ〜
わしゃ、百まで働けるかものぉ〜 フォッフォッフォ〜(^_^)」
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Aさっきの赤い樽
長助 「ああ、あれはの、店に醤油を買いに来たお客さんに量り売りをする時にあの桶から
醤油を升で汲んでの・・そーじゃ、その上に焼き物のビンが乗っておったろう?
そのビンをお客さんが持ってきて、その中に詰めてあげたんじゃ。まあ、いまでいう
究極のリサイクルってやつじゃな。
醤油を入れて置かなきゃならんから、桶の内側まで朱の漆を塗っておったんじゃが、
今時はそんな面倒をして買いに来るお客さんもおらんでの、あの赤桶も使わなくなって
久しいのじゃが・・・・
そうか・・あんたにそんな悪さを・・・
すまなんだなぁ、あの桶もヒマなもんで焼き物のビンと一緒にチョイト悪戯をしたんじゃろう。
古い器物は歳を経ると化けるというからの、ふぉっふぉっふぉ」
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B店前にあった木の道具
長助 「そりゃ、【唐箕(とうみ)】とゆうて、米やら麦やらのモミガラを取り除くための道具じゃ
上からモミガラと混ざった米や麦を入れて少しずつ落としながら、脇の取手を回しながら
風を送ると、ウマイ具合に軽いモミは吹き飛ばされて、実だけが下に落ちるカラクリじゃな
あの唐箕ももう百歳やそこらじゃきかん年寄りじゃ、フォフォ」
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